季節によって変動する血糖値

血糖値は季節によって変わるのをご存知ですか? 特に冬場は血糖値が高くなりがちと言われています。なぜそのようなことが起こるのか? 今回の記事では血糖値の季節性について解説します。

■血糖値が冬場に高くなる理由① 摂取エネルギーの増加

冬場に上がると言われる血糖値。その理由のひとつとして考えられるのが、年末年始のイベントで外食や飲酒の機会が増え、摂取するエネルギーが増大すること。

摂取エネルギーが消費エネルギーを大幅に上回ると、余分なエネルギーで脂肪細胞が肥大して内臓脂肪として蓄えられるようになります。この内臓脂肪が血糖値に影響を及ぼし、血糖値を上昇させることにつながります。

また、内臓脂肪の増え過ぎは肥満の原因にも。冬場の摂取エネルギーには気を付けたいところです。

血糖値が冬場に高くなる理由② 運動量の減少

冬になって気温が低くなると、身体を動かすのが億劫になりがちです。運動量が減ると消費エネルギーも減少し、余分なエネルギーが内臓脂肪として蓄えられやすくなります。

また、寒い季節は運動量の減少による消費エネルギーの低下が起こりやすく、肥満にもつながりやすいので、血糖値の上昇に影響を与えていると考えられています。

■研究でも示された血糖値の季節変動

季節によって血糖値が変動する現象は、研究によっても明らかにされています。季節ごとにHbA1c※1の値を調べた研究では、冬と夏でHbA1c値に0.5%ほどの差があることが示されました。

0.5%は小さい値に見えますが、HbA1cにとっては大きな変動(下記表参照)。夏場は正常の範囲内だった血糖値が、冬場になると「高め」になることも。もともと血糖値が高い人は、冬になると「糖尿病が強く疑われる状態」になることもあるのです。

※1 HbA1cとは?

赤血球中のヘモグロビンのうち、どれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値。血糖値が高くなると、HbA1cの数値も高くなります。血糖値が食事や運動などによって短時間で変動するのに対し、HbA1cは過去1~2カ月の血糖値の平均を反映して上下するため、長期血糖コントロールの指標となります。

なお、「明日は病院で検査だから」と前日の食事を控えると、検査当日の血糖値を下げることはできますが、HbA1c値を下げることはできません。逆に、2カ月ほど食事制限を継続した人が、検査前日だけたくさん食べてしまってもHbA1c 値は上がりません。

いかがでしたか? 冬場に血糖値が上がりやすい理由が分かれば、対策は簡単。食生活に気を付けつつ、寒さに負けず運動習慣を続けていきたいものですね。

次回は食後に血糖値が急上昇する「スパイク」についてご紹介します。